書評

【書評】100円のコーラを1000円で売る方法|マーケティング入門書

マーケティング入門書として超有名な「ドリルを売るなら穴を売れ」と同じですが、100円のコーラを1000円で売る方法を延々と書いているわけではないのでご安心ください。勘違いしそうなタイトルが多いですね。苦笑

本著は法人営業経験者であれば共感する部分が多く、目から鱗が落ちるような内容に仕上がっています。

かくいうぼくも法人営業に10年以上従事している人間なのでいい意味で多くの衝撃を受けました。

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主人公は、会計ソフトの企画・販売を行う駒沢商会の商品企画部へ異動した容姿端麗な女性社員。

この女性社員は、商品企画部に異動する前は、ばりばり数字をあげていたトップセールス。

「なぜ売れない商品ばかりなのか?」

こんな思いをずっと胸に抱き、変えるために企画部への異動を志願します。

異動後は営業現場で培った知見を用いて会計ソフトの企画をします。

しかし彼女の企画はことごとくNG

お客様の声をひろい、お客様の要望を全て叶える企画がなぜNGになるのか?

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営業経験がある方であれば「それ自分にも当てはまる!」というシーンが多く出てきます。

過去の自分はどんな対応をしたか?を思い出しながら読むといいです。

主人公の女性と同じ行動をとっている人がほどんどだと思います。

ぼくもそのタイプです。

それをやり手マーケターに痛烈に批判される光景は少しグッとくるものがあり、凹む場合もあるかもしれません。苦笑

しかし読めば必ず役に立ちます。売り手の立場になると忘れがちな顧客が本当に必要としているのは何かという考えを思い出させてくれます。

あなたのスキルアップのためにも本著を手に取ってみてはいかがでしょうか。

ところで「100円のコーラを1000円で売る」ってどういうこと?

作中でも一つの例としてあげられていますが、

リッツカールトンのルームサービスでは、普通に売っているコーラが、最適な温度に冷やされ、ライムと氷がついた、この上なく美味しい状態で、シルバーの盆に載せられ運ばれてくるようです。

心地よい環境で最高においしいコーラを飲める体験を売っているので、中身は普通に100円で売っているコーラですが、1000円でも顧客は値引きを要求せず、満足するということです。

何が言いたいかというと、同じものでも付加価値をつけることにより価格競争とは無縁の世界で戦うこともできるということです。

このような考え方が本著には詰まっています。

著者について

著者は永井孝尚氏。

1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。

1991年にIBM大和研究所の製品プランナー、製品開発マネージャー、1998年には戦略マーケティングマネージャーとしてCRMソリューション、ソフトウェア事業部などの事業戦略と実施を担当されたとのこと。

その後、2012年にはソフトウェア事業部の人材育成部長を歴任し、2013年7月ウォンツアンドバリューの代表に就任し現在に至るとのことです。

本著の概要

上述の通り、駒沢紹介の商品企画部に異動した女性(元営業)が主人公。

圧倒的な数字をあげていた自信から、営業現場は自分が一番よく知っているという考えで、売れる会計ソフトを自ら企画しようと思い異動。

彼女の企画がやり手マーケターの先輩社員から痛烈なダメ出しをされる様は営業経験者なら誰もが耳を塞ぎたくなると思います。笑

彼女の企画内容は、営業時代に顧客よりいただいた要望を全て叶える商品

顧客が考える「こんなことできたらいいな」が全て詰まった会計ソフトです。

それのどこが悪いか分かりますか?

正直読む前のぼくは全く分かりませんでした。苦笑

また商品企画の立場として営業支援の一環として顧客のRFPに対応する場面があります。

RFPに記載された顧客要望を全て叶えるべく、仕様上未実装のモノは開発にかけあい実装する。RPF回答書は全て「○」で埋め尽くされます。そして価格も最安値。プレゼンも完璧。

これでも他社に負ける。その理由は?

自分の経験を思い出しながら読んでいると、読書なのに本当に恥ずかしい思いをしました。苦笑

だけど僅か1〜2時間の読書で答えを知ることができ、今後の指針となる考えを持てるのはとても大きなメリットです。

読書の素晴らしいところですね。

本著で登場するマーケット用語など(メモ)

さて、本著は入門書なので専門用語は非常に少なめですが、それでもいくつかの用語がでてきます。簡単にですが解説します。※個人的に覚えておきたい用語のみピックアップしています。

●顧客満足の式

顧客が感じた価値ー事前期待値=顧客満足

●バリュー・プロポジション

顧客が望んでいて競合他社が提供できない自社が提供できる価値

●カスタマー・マイオピア(直訳:顧客近視眼)

お客さんがいっていることだけを鵜呑みにして、それにすべてに対応しようとしてしまって、本当にお客さんが必要としていることに対応できておらず、長期的に見るとお客さんが離れていってしまう状態のこと

●プロダクトセリング

徹底的にコスト削減を図る手法。
例)コーラを他社よりも安く販売する

●バリューセリング

同じものでも付加価値をつけて提供する手法。
例)リッツカールトンでは心地よい環境で最高においしいコーラを飲める体験を売っている。だから高額でも顧客は値引きを要求しない。

●イノベーター理論とキャズム理論

新製品を買う順番

1.イノベーター(2.5%)
2.アーリーアダプター(13.5%)
ーーキャズム(普及の谷)ーー
3.アーリーマジョリティ(34%)
4.レイトマジョリティ(34%)
5.ラガード(16%)

イノベーターとアーリーアダプターを足しても全体の16%

アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にはキャズム(普及するための大きく深い谷)が生じる。多くの商品がこの谷を超えられず消えていく。

この考えがイノベーター理論とキャズム理論。

キシリトールガムがヒットした理由

急に話は変わりますが、作中では様々な事例を用いてマーケティング戦略が解説されています。

個人的に「なるほど!」と共感したキシリトールガムがヒットした理由を紹介します。

”歯医者さんもオススメする虫歯予防のガム”

こんな謳い文句の宣伝を聞いたことがあると思いますが、なぜ虫歯を治すことが仕事の歯医者さんが虫歯予防の宣伝をするのか?を少し考えてみてください。

虫歯が減ると患者が減るので困るはずです。だけど虫歯予防ガムをおすすめするのはなぜか?

・・・

理由は、

「虫歯にならないために歯医者に行く」というビジネスモデルを優れたマーケターが作り上げ、歯医者の賛同を得ました。

虫歯になる人は日本人全体の1割しかいないようです。

しかしこのビジネスモデルで日本人全体を顧客に取り込むことができました。

甘味料たっぷりのガム市場では、あまり美味しくないけど虫歯を治すガムはまさにブルーオーシャンで、このマーケティングが功を奏しキシリトールガムの大ヒットへ繋がったということです。

最後に

モノを売る、サービスを提供する、という立場になった途端、主役がモノやサービスになり、顧客を軽視してしまうことはよくありますよね。

ぼくもそうなってる気がします。苦笑

マーケティング脳を育てることは、ビジネスを大きく成功させるという点では必須要素だと本を読み終えて強く感じています。

常に、モノやサービスを提供される顧客が本当に実現したいことは何かを考えるクセをつけることが成功への鍵となることでしょう。

モノやサービスを提供する仕事に従事している方、特にBtoBのビジネスに従事している方は必ず読んでおくべき一冊です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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